-俺の腐れ居酒屋END-
-俺の腐れ居酒屋END-
俺は今まで数多くのアルバイトを経験してきた。
特に調理系の仕事は長く続けたもので、洋食から和食まで幅広い分野に対応できるスキルが身に付いている。
特に3年にも渡って勤めていた某腐れ居酒屋チェーン店。
俺が入った頃の店長は凄まじかった。
N店長というのだが、限りなくアウトローな性格をしていて、至極短気。
新人バイトならまだしも、古株バイトまでにもミスを逃さず「ありえねぇから!」を連発。
決まって「ありえねぇから!」の前に、一旦硬直してから顔色を高揚させ、真っ赤な状態から繰り出してくる。
実は正式には
「何やってんだよ!てめぇ!ありえねぇから!!」
こうだ。まさに怒れる獅子そのもの。女子供だろうと一切容赦無い。これは悪魔以外に表現のしようがないだろう。悪だ。悪人だ。魂売りすぎ。
他にも特徴的な言動として、「無いから。」「駄目だから。」「これ以外、無いから。」「こうだから。」等の名言がある。常に駄目出しはコレ。
バイト連中はいつも、虐げの僻地と化した仕事場でN店長の暗躍に身を潜めざるを得なかった。
そんなN店長の名言がそのまま、ゆーすけのサイトの「ありえねぇから!」の由来になっているワケだが、今回はN店長が去った2年半後、俺がついに某腐れ居酒屋を辞める時の事件を書いてみます。
時は流れ、2004年の春。
数々の問題発言を残して異動したN店長。気狂い名言集のお陰で俺の後に入ってくるバイトは皆辞め、誰1人として新人が育たない環境の中、俺が一番の古株になっていた。
他のバイト連中といえば、男に媚売って暗躍しまくるフリーター蚊夜(女)。
一度社員になってからバイトに戻り、つまみ食いでイキナリの「店長かクビ」の2択を迫られた山田(男)。
もう8年くらいフリーターとして腐れ居酒屋にしがみ付いているスロット中毒患者の世津蔵(男)。
あとは主婦連中+その他学生バイト。こんな感じだ。
そして、店長は水朽(男)。顔が良い上に女でアヒャ!ヽ(゚∀゚)ノ な腐れ店長だ。このやろう。
この時期、俺は学生生活も佳境に差し掛かり、就職活動が本格化。家から80キロ離れた学校まで毎日往復で通っていたこともあり、ついに腐れ居酒屋を引退しようと考えていた。
しかし、以前からの気狂い居酒屋。俺の後釜が未だ居ない状況。この3年間に何人もの人が虐げられては消えていった。
こんな状況に少々気が引ける俺だったが、辞めないことには始まらない。俺自身の人生も賭かっているしな。
そして、もうこんな居酒屋にも嫌気と飽き飽きしていたので、ここは思い切っての決断をすることに。水朽店長に5月の連休明けに辞める話をした。
俺「今までありがとうございました。就職活動の為、辞めますんで。」
水朽「えっ!?社員にならないの?就職活動しなくても良いでしょ?お前なら主任クラスからにしてやるぞ?」
俺「…いやいや、狂いすぎ。辞めますって。あとは、知りませんから。サヨウナラ。」
相変わらず狂っている発言しかしない水朽店長。何が何でも、俺を暗躍腐れ居酒屋にハメ込みたいらしい。その手は食うか。ありえねぇから。辞めえるから。それ以外、無いから。
一応、こんな形でなんとか1ヶ月前には言った。辞表も書いた。半人前の社会人としては問題無し。
しかし、これでは終わらなかった。
時はこの居酒屋らしく殺伐と流れ、ついに5月の連休を迎えた。
ゴールデンウィーク?少々人が多いだけだから。世間一般で、輝く週間とか満喫しすぎ。
もう年末年始を幾度と無く経験した俺にはなんてことはない。普通の休み前と変わらない営業。大した疲れも無い。
この頃は周りのバイトの人に対してどうでも良かったので、一切関わりは持たない。
スロット話?男と暗躍?知らねぇ。聴こえねぇ。あんたら、それしか話題は無いのか?限りなく面白くないし、0点!ヽ(゚∀゚)ノ
こんな感じだったので、俺は狂ったように黙々と仕事に集中。仕事をキチンとやらないで狂いすぎなヤツラ等、逝ってしまえ。もう未練などないわ。
そんな思いだった連休中のとある日。
営業終了後、珍しく店舗内で飲み会が開かれた。
飲み会とは言っても、とりあえずビール片手に「お疲れさま〜」程度のもの。閉店まで残っていた人達でささやかな暗躍。
…のハズだったのだが、
水朽「お〜い!酒持ってこ〜い!」
徐々に狂いだした店長。1人でテンションがうなぎ登りだ。酒がっ!ヽ(゚∀゚)ノ 酒がっ!ヽ(゚∀゚)ノ 違うから。
水朽「おう!ゆーすけよぉ、おまえ何で辞める?」
俺「ですから、就職活動ですから。」
実は水朽と飲むのは初めて。昔は店長を始めとしたバイト連中と飲みに行くこともあったが、今の希薄な人間関係の職場ではまず無かった。
そんな水朽はついにヒューズが飛んだのか、暗躍を始める。
水朽「お前がいないとよぉ、誰がバイト連中をリードするんだ?」
はい?なにそれ?何で俺がそんな責任があるワケなの?
俺「いやいや、俺は来年就職するんですよ。リクナビえるわけですよ。会社訪問とか無鉄砲に突撃するわけですよ。だからバイトする暇が無いんですよ。第一、後釜居ないのは俺のせいじゃないでしょ?」
水朽「なんとかしろよ!俺と一緒に店を盛り上げようぜ♪(*゚▽゚)」
何逝ってやがる。いや、言ってやがる。無いから。意味不明すぎ。
俺「…ですから、俺、辞めますから。立て直すのは勝手にやってください。」
水朽「…なんでだ!なんで辞めるんだ!!」
口調が荒くなる水朽店長。何かが納得いかないのだろう。全てのウチの腐れ店舗の諸悪の根源は俺かのごとく、矛先を向け始めた。
俺「なんで俺にこだわるんですか?後は残った人達でなんとかしてくださいよ。俺は就職活動もそうですが、今の店の人達とかどうでも良いですから。」
水朽「なんだと!?」
俺「蚊夜の暗躍に始まり、主婦連中の働かない態度、スロット気狂いはウヨウヨと散在しているし、そして挙句の果てには女しか興味が無い山田の暗躍。全てにおいて腐っているでしょ?ゼロ点ね。ゼロ点。俺はもう見切りをつけたんですよ!」
水朽「てめぇ!!」
突然、俺の胸倉を掴む水朽店長。ああん?狂いすぎだろ。このやろう。
たまらず、俺も掴み返す。普段、滅多にキレない俺もブチ切れた。
俺「んだと!てめぇ!!やるのか!?( #゚Д゚)ゴルァ!!!」
本気でキレた。やるならやってやるぞ。
周り「2人共、やめて下さいって!」
当然のごとく、止めに入る周りの人達。当たり前か。どうみてもこれから殴り合い寸前だものな。
俺「止めるんじゃねぇ!」
水朽「( ゚Д゚)ゴルァ!」
すでに怒り狂う2人は今にも大喧嘩になりそうだ。
しかし、3人とかに押さえつけられてどうにもエンディングの方向へ。
水朽「ぎゃはははは!!(*≧▽≦)」
このやろう。なにが「ぎゃはは!」だ。狂いすぎ。ありえねぇから。水朽よ、朽ち果てろ。
無性にむかついてきた。俺は本来温厚なのだが、むかつくと止まらない。止まりえない。あああああ!
水朽「よーし!じゃあ今度はルームで飲むぞー!」
うるせーばか。この女を虐げ腐れ店長が。さっきまで「( ゚Д゚)ゴルァ!」とか言ってたくせに、なんだその変わりようは。1人2役すぎ。
皆一斉にルームへ突入。俺もイライラしながら、続きを期待して同行する。
水朽「アッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノ 飲め飲めー!(*゚▽゚)」
俺「・・・」
水朽「ゆーすけも来いよ!(・∀・)」
何考えてるんだこいつ。ニヤニヤニヤニヤしやがって。
ゆーすけも来い、だ?このやろう。頭からビールかけてやろうか?ピッチャーか?それともビール工場のタンクに突っ込んでやろうか?
俺の腕を掴んで、無理矢理にビールを飲ませようとする水朽。1人で勝手に盛り上がっている。
そして水朽はさらに狂った。
水朽「ゆーすけ、キスするか?(・∀・)」
いいいいいやああああああああああああっ!!!!貴様、寄るんじゃねぇ!!コラ、触るな!!!窓から放り投げるぞ!!!
俺「ありえねぇから!水朽てめぇ!!(#・∀・)」
ブチキレ再燃。もう許さざるべからずだ。
水朽「なんだこの!やるのかぁ!!( #゚Д゚)」
ニタニタしながら俺に絡んできやがる。正直、ここまでキレたのは初めてだ。絶対吊るしてやる。もうもう、ウキャーーー!!ヽ(#゚∀゚)ノ
。。。
しかしここで水朽、突然寝る。これでもかと爆酔。いや、爆睡。あの勢いは一体何だったんだ?
死ね!(#・∀・)
むかつきを不燃のまま、忘却の彼方へ埋められた俺。この思いはどこにブツければ良いのよ?ありえねぇから。
こうして、俺の腐れ居酒屋の最後の最後にありえない事件で終了。殺伐とした中でエンディングを迎えた。