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想像の産物
毎日遊んで暮らしたいわ〜、そらいいじゃないの、ってな具合で毎日会社に行っても家に帰ってきても「世の中便利になったものよ」とか偉そうな口を利きながらインターネットばかりしていて、ふと会社のデスクにてあることに気がついた。大切な会議に資料をまったく作っていなかったのである。
というのも、自分の会社は毎月どんなことでもいいから何か企画を持ち回りで会議で出すという、アグレッシブかつ非常に面倒な風習が存在するのであって、毎月会議の時期になると、その月の発表者が「ﾏﾝﾄﾞｸｾ」や「ﾀﾞﾘｰ」といった言葉を口々にするものだから、ついに自分も例に漏れず「ﾃﾗﾜﾛｽ」とかいう言葉を吐く様になってしまった。
とはいえ、ドラえもんが出てきて勝手に企画を作り、資料も丁寧に作り上げてくれるはずもなく、急いで手帳を開いてなんや思案に暮れるのだけれども、いかんせん時間ばかりが優しく耳元をすり抜けていくばかりで、なんら一向に案なんて思いつきそうにもないのである。
だいたいにおいて企画なんてものは、日々見つけた何気ない疑問やヒントになりそうなことしたため、そいうったパズルのかけらを組み合わせながら作っていくのであり、朝起きて、出来たー、と気軽に出来るようならば誰も苦労しないのである。しかしながら今回ばかりは時間が無い。
お、そーいやこんな時は気分転換が良いって誰かが言っていたような気がする、ってことで早速自分は気分転換のために、早速喫煙室に行って見るのだが、なんら気分に変わりは無い。自動販売機や灰皿があるだけで、なんら気分に変化が出ないのである。
そこで、自分は気分が変わらぬならば、自分で無理やりにでも変えてみようと思ったので、喫煙室の中に誰もいないのも手伝い、大声で一人で森の熊さんを歌ってみることにした。いやはや会社の中でこんない大声で歌ったことなど無いものだから、非常に気分がよくなってきたのだが、そこで会社の同僚が喫煙室に入ってきた。
それによって自分は非常に恥ずかしくなっていしまい、さっきまでの気分の高揚感などどこかに飛んでいってしまい、後に残るは恥ずかしさと、二人の間の微妙な空気だけとなってしまったので、早々に喫煙室から出ることにした。
かくして、何の準備も出来ないまま会議の席を迎えてしまい、案の定、ボケ、カス、マヌケといったような罵声を浴びせかけられながら、ヘヘヘ、えらいすんません、と答えて何とかその場を乗り切ったものの、残念ながら来月も自分が企画を発表する事となってしまった。
しかしながら、自分はなんら心配はしていない。なぜならば喫煙室で誰もいないときに森の熊さんを歌うことによって、かえがたい高揚感を得ることが出来ると知ったからである。そのようなテンションの上昇があれば、きっとどんな企画も思いつくことが出来る。自分はそう信じている。
だからまずは、日々の生活の中で、何気ない疑問やヒントになりそうなことを集めるよりも、喫煙室に誰もいない状況にならないか見張っている毎日である。
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