No. -001
嘆かわしきは己の未熟さよ、この場に臥す身肉はいつか朽ち果て土に溶け、大地、山河と受け継いで大海へと注ぎ、やがては天へと下り陽光の視線を背に雨へと姿を変えて再びこの世に
「早明浦の貯水量が10%を切りました。」 巡らない。
天啓は我へと降りけり。西方内陸境より出づる御影は三度儚げに燃え落ちて、耐え難き日々と愛しき彼方が毎夜毎夜と雫と変わり切々と枕を濡らすので、遥か遠方は想言を捧げた空より、夢幻か恵みの君が
「早明浦が枯れました。」 降らない。
解決の策は未だ見出せず、もはや藁にもすがりたい気持ちは極まり、五尺七、八寸はあろうかという裸体も今際の際まで辿り着こうかという果てに。即ち見習うべきは絵姿女房一の型、己の無力を悟り、しかしながら己の手によりて、誰がしかの叡智か機知かを拝借し、夢の最深部から貴女を救い出したい、必要なのはきっとそういう思いの強さ
「大型の強い台風11号が接近しております。」
人知を超えた力が望まれている。
湖畔にはキキョウ、アヤメ、カキツバタが列を成して、こんなに不自然な水辺の可憐も中々見られない。明らかな創作の痕跡、慌しい人工美。それらが今、視界の全てにうまいこと散らかっているのだが、よくよく眺めるとどれも傷だらけで力ないように見える。しかしもう少しの辛抱だ。天の涙神の夢、今に恵みの雨雲が空一杯に
「台風は東の海上に抜けました。」 広がらない。
生命は枯れようとしていた。ああ天よ、我らはまだ希望を満開に咲かせるという使命を達成しておりません。咲いてこそ花、散ってこそ華なのです。未だ世界に光が満ちるのであれば、せめて僅かの御慈悲を、爛々とした御心を
「次のニュースです。」
死国。
No. -002
選挙に行きました。
という話はどうせ他の誰かが赤子を寝かしつけるために夜毎語るのだろうから僕は語りませんよ、などと時代を逆行するハードボイルドを装ってみてもブームは2ヶ月前に去っていたらしいので僕は現代に気高く咲いた浦島の花である。
このセンス遅れという陵辱は如何にして生まれたのか。9月に書いてるからだろ、なーんて答える優等生にAはあげられないな。若さ故にCが欲しいとかそういう類の話はしていない。我らは生まれるべくしてこの世に生まれ落ちるのだ。さぁクエスチョンのお時間です。お嬢ちゃんはどこから生まれ落ちてきたのかな?選択肢はコウノトリ、キャベツ畑、すごい夜の3つです。分からない時はお父さんに聞いてみてね。身をもって教えてくれるでしょう。パパだってね… 男なのさ!
どこをどう進めば選挙から子作りの話になるのか大変に興味がありますが、そういう路地裏の近道を知っているノラ猫な方は恥ずかしがらずに挙手をお願いします。多数決は民主主義のようですが少数派を好む民族は歴史を遡ってみても滅んで来ている。前もって何党に入れるつもりだとかそういう愛国心は生まれると同時にヘソから切り離されたので私の虚栄心も今や廃墟だ。だからできるだけ皆さんと意見を共有したいんですの。仲間外れはもっと滅んでいます。しかしそれには1枚のついたてがカンニングの邪魔をする。あなたは何党に入れてるの?どれどれ、ちょっと見せてよ。どいつが正解ですか。政界の正解は郵政民営化に賛成の反対ですか。ねぇ何でうちにはママがいないの?いいから見せろ!見えた!滅ぶのはお前らの方だ!カキカキ。ボクはひとりじゃないよ。ヨロシク投票。
ナイス落選。
No. -003
リサイクルのご時世ですから見なくなったDVDや行き場を失くした想い等も再生利用するべきである、と面白ハーフのエコ気取りでamazonに出品してみたのだが買い手のつく気配が全くないのであそこのユニークアクセスは12ヒットくらいである。
所詮は原生林、奥地に足を踏み入れて未確認生物や生態系の調査を行う藤岡など皆無に等しく、うっかり一歩でも踏み入れようもんなら明らかに発泡スチロール製の岩石や逃がすこと前提で作られたとしか思えない檻など、摩訶不思議やらせンチャーの貴重な証人となれるチャンス要らないって?お前って本当に貪欲な。
と思っていたらamazonから
「買い手がついたので早急に送りなさい。さもなければ…」
という恋人が堕天使へとオチる顛末が盛り込まれるであろう後半部を含むメッセージが届いたので出不精が選択肢Dに
「見限る」
を追加して悩む。僕が黒ヤギさんなら読まずに食べたと言い訳することも可能だが、蹄でキーボードは叩きにくいし何よりヤギ化した後まで人語を理解していられる自信がない。
ここで面倒くさがると成人未満の閲覧者が鼻血を出して記憶をなくすので、病魔に侵される前に一途な想いと商品のDVDを梱包して仕方なくバケツの水をかぶると救う気のない大吾みたいな姿勢で燃え盛る郵便局へ。「お待ちのお客さまぁど〜ぞぉ」
こいつは禍々しい。例えるならまさに黒煙
「こわれものとかお急ぎではないですかぁ?」
呪いが急速に侵行する。このままだとキミのことなんてすぐに忘れてしまうかも知れないめぇ〜。ハッ!「にひゃくよんじゅうえんで〜す」
240めぇんですね。ハッ!ボクは支払いを済ませると
「ありがとございましたぁ。」
毛深くなって、四速歩行。角が、髭が… 手遅れになってしまう前にせめてせめてと、ボクは木々の隙間を駆け抜けながら、遠い故郷に向かって君への想いを叫び散らした!
「もぇ〜」
もはや。
No.Less
カーニバル。
かつて春の到来に喜んだゲルマンの民が繰り広げた儀式に由来し、西方教会の文化圏では祀事的ニュアンスの強いものだったが、現代においては宗教色を失くして一種の観光行事化されたお祭事になっているという。僕のウィキペディ脳における海馬がそう記憶していた。
しかしこのイベント、せっかく持ってきた手土産を広げて一斉に微妙な顔をされるといういじめ信号が赤ランプを灯しかねない雰囲気をグラスに並々と。危険だ。これはもしやカーニバルじゃなくてカニバル。人食文化圏の部族による支配の色がシステムオールレッドの赤。返り血。それだ!
さてお祭と言えば神輿が不可欠ですが、ふと周りを見渡せば世界的なニュアンスを持った人間は俺しかいないのでこの神輿には俺が乗る!しかしどうだ、民はこんなことを言う。「勝手に言わせて貰うけど、世界の象徴たる宮殿がインダス文明に造られた養鶏舎とはナンセンスが過ぎますね。」
なっ、お前らこそうさぎのくせに無礼バー。
逃げるようにして飛行船へと乗り込みパトロールに出かけると海上に漂う
a LOT of
クラゲが105匹。こいつは良い肴になるぜ、ああ今夜も有難うなんて浮かれていると大抵は夜霧と潮サイクロンに包まれて海の藻屑と散るのがオチである。
逃走を図る私の頭上で突如穏やかなサンタルチアのアラートが響き渡る。とても緊急とは思えない警告音に繊細な谷間の百合はしな垂れて、しかし選り好みできる状況ではないので私はそいつを引っこ抜くと出てきたのは小吉。
根っこからなぜおみくじがという疑問を抱く前に綴られている厄除けに目を通す。「電車型パン工場から淡く切ないさくらミントの香りが漂って来そうな一日。パスワードは確かDioHかHoiDだったと思うよ!分からない時は、取り敢えず(仮)と入力しておけばエレキテルが作動してバチチッ!激しいしびれに驚いて飛び退いたところに肥溜めがあるので足に糞が溜まります。」
ありえねぇから。
どちらかと言えば厄寄りのおみくじを引いている間にも件の祭りは進行している。私が晩酌の肴を探して大冒険を繰り広げている最中、彼らは酒を浴び肉を喰らって君主のいない世界を満喫しているのだ。早明浦へと駆け選挙に行き、amazonの奥地を巡って、そして今ここにいる。私の長い長い旅路は終わったのだ。疲弊を携えた国王は会場の入り口を象る黒灰の門をくぐり抜けると、溢れる群衆の中へと帰っていったのです…
「凄い空想劇ですね!」
お前ら帰れ。